琉球歴史本紹介-視野が凝り固まってしまったときに読む本

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琉球の歴史を調べていると、一つの物事について深追いしてしまうことがある。歴史本を何冊も読み比べたり、記念碑の文言を読み込んだりしているうちに、一つのことだけに対してヒートアップして視野が凝り固まっている時がある。

そういうときにいつも開く本。教科書の編集も手掛ける山川出版の『県史47沖縄県の歴史』。
沖縄諸島の古代を含め、琉球時代から現在までの沖縄の歴史を幅広く解説していて、大人向けの教科書みたいな本だ。

山川出版の『県史47沖縄県の歴史』

山川出版の『県史47沖縄県の歴史』

琉球史関係のいろんな本を読んでいると、たまに著者の強烈な感情や信念が文章に響いている時がある。それは作品としての素晴らしい魅力の一つで、いろんな角度から琉球の歴史を知ることができるのでたくさん読みたいと思うし、読んでいてとてもおもしろい。ただ、読んでいる私自身が感情移入をしすぎて、このサイトの記事をまとめる時に冷静に書けないことが多々あった。実際にだいぶん感情的なまま修正できていない記事もまだ残っていると思う。

最近になって、そういうふうに今の自分はちょっと偏っているなと感じた時に『この本は、このことについてどういう風に書いているんだろう。』と『県史47沖縄県の歴史』を読み直すようにしている。

個人的にこの本は、客観的かつ中立的な視点から沖縄の歴史を解説しているように思う。
扱っている時代が幅広い分、一つ一つの出来事や人物に関する詳細は簡素化されてはいるが、要点のまとめ方がスマートで、読んでいて『うまいことまとめるなぁ』と何度も思う。だって、すごい学者さん達が書いてるんだもん。当然ですよね…。とも思うけど、学の浅い私でも読めるように書くというのは、賢い人にとっては手間なことだと思う。

それに、琉球に限らず歴史に関してまったく下地のなかった私は、一番最初に読んだ琉球史関係の本を”真実”だと思い込んでしまったので、広い視野を持つことがしばらくできなかった。刷り込み的に信じ込んでしまった”真実”を証明しようと躍起になって、琉球史本を読み漁ったり沖縄で出会う人に聞いてみたりもしたけれど、そういう時期を経て気が付いたのは、”真実”や事実がどうこうよりも、歴史を知ることで視野を広げたりひとつの物事をいろんな角度から見られるようになることが私にとって大切で楽しく、史実の解明は専門の方にお任せするのが一番だということだった。

そういう初心者ならではの素直さを大事にする意味でも、この本は初めて琉球の歴史に触れる方には下地として一度目を通しておくのにおすすめだなと思う。ただ、大和の歴史もままならない私にとっては、琉球史の登場人物は初めて聞く名前ばかりで最初は文章をたどるだけで精一杯だった時期も確かにあった…

なにはともあれ、書店で背表紙を見かけた時はお硬い歴史本のイメージだったこの本は、今では私にとってクールダウンアイテムになっている。

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